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2019年ばんばん通信アクセス数ランキング

謹んで新年のお慶びを申し上げます。

今回は恒例の2019年のばんばん通信アクセス数ランキングの1位~10位のご紹介です。(集計期間:2019年1月~12月)

1位 外国人労働者と共に働く時代の物流センター運営のポイント

外国人労働者が増えており、物流も例外ではありません。今後外国人労働者を雇用することも考慮した物流センター構築のポイントについて取り上げています。

2位 続・2030年の物流を考える

2018年ばんばん通信ランキングで3位を獲得した「2030年の物流を考える」の続編です。筆者は、その後も事業戦略のご相談をいただいたことから、現状をしっかりと直視し、未来を描いていく必要性を再認識した内容となっています。(前編はこちら

3位 世阿弥に学ぶ「初心」の重要性

門出に際してよく耳にする「初心忘るべからず」と実際のプロジェクトのスタート時における活動企画書と重ね合わせて、その必要性について取り上げています。

4位 物流センターにおける事務所や休憩室の検討

最近では人手不足対策の一環として、カフェやレストランのような、きれいな休憩室を備えた物流センターが多くなっています。物流センターにおいては、事務所のみならず休憩室の位置、広さ、内容も大切な要素の一つであることを取り上げています。

5位 意外と知られていない!? 便利なショートカットキー

「働き方改革」のためには業務効率化が必要で、その一つがショートカットキーの活用としたうえで、「覚えると使える」ショートカットキーをご紹介しています。

6位 2018年ばんばん通信アクセス数ランキング

意外なことに、アクセス数ランキングがTOP10入りしました。2018年のランキングもあわせてご覧いただけると、何かのヒントになるかもしれません。

7位 物流のプロジェクトマネジメント

新規物流拠点の立ち上げや移転の際にトラブルは付き物という、物流のこれまでの“常識”を払拭するために重要な「プロジェクトマネジメント」について取り上げています。(参考:ロジスティクス・ビジネス 2019年4月号 こちら

8位 ワークサンプリング-より良い観測を行うために-

物流現場において稼働状況を把握して改善策を考えたい時、比較的実施しやすい物流分析手法の一つがワークサンプリングです。そのコツを取り上げています。(参考ページはこちら

9位 企業や業界の文化・慣習が物流業務に与える影響

物流業務委託先の物流事業者を選出する物流コンペにおいて、提案依頼書(RFP)の作成は重要であり、その作成の注意点を取り上げています。(参考ページは、こちらこちら

10位 プレゼンテーションは奥が深い!-6

プレゼンテーションは、多くの聴衆に向けて行う場合だけでなく、営業の場面で対面の顧客に対して行う説明や上司に対する報告もプレゼンテーションと考えるととても幅が広がります。その極意を複数回にわたり解説しています。(第1回はこちら

いかがでしたでしょうか?

ロジ・ソリューションのメールマガジン「ばんばん通信」では、物流に関連した内容をお届けします。本年もよろしくお願いいたします。

(文責:中谷 祐治

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第421号 2020年1月15日)

 

ホワイト物流推進運動について

昨今、物流業界では、ドライバー不足、働き方改革などについてよく耳にすることが多くなってきていますが、『「ホワイト物流」推進運動』という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。先日もお客様からホワイト物流について問い合わせをいただくことがありましたので、簡単にご紹介したいと思います。

『「ホワイト物流」推進運動』とは、国土交通省、経済産業省、農林水産省の3省が連携し、推進している取組運動です。

具体的には、深刻化が続くトラック運転者不足に対応し、国民生活や産業活動に必要な物流を安定的に確保するとともに、経済の成長に寄与することとし、

・「トラック輸送の生産性の向上・物流の効率化」
・「女性や60代以上の運転者なども働きやすい、より「ホワイト」な労働環境の実現」

を目的とした運動です。

この『「ホワイト物流」推進運動』の特に注目するべき点は、「すべての関係者が問題意識を持ち、物流の効率化・生産性向上のために協力していこう」という姿勢です。

私が以前配信させていただいた「よりよい物流環境の構築に向けて」でも記載しましたが、さまざまな物流に関わる問題を是正するためには、荷主企業を含めたすべての関係者の理解と協力が不可欠だと考えており、この推進運動を起点とし、積極的な取り組みが期待されています。

この推進運動に賛同し、参加されている企業はすでに600社を超えています。(『「ホワイト物流」推進運動』への参加は、「自主行動宣言」を提出することによって行われます。詳細は『「ホワイト物流」推進運動』ポータルサイトにてご確認ください)

この賛同の輪が今後もますます広まり、物流に関わるすべての関係者が連携し、相互に改善が図れるよりよい物流環境が構築できればと思います。

このメルマガからホワイト物流の取り組みを一人でも多くの方が知り、少しでも推進に役立つことができれば幸いです。

(文責:南部 大志)

ロジ・ソリューションは、物流コンサルタントとして物流改善に向けた取り組みを引き続き推進していきたいと思います。お気軽にお声がけください。

【「ホワイト物流」推進運動ポータルサイト】 https://white-logistics-movement.jp/

また「ホワイト物流」推進運動の概要を動画で分かりやすく説明されています。
ぜひ、ご覧ください。
https://youtu.be/ozis8wLUnGk

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第420号 2019年12月25日)

スポーツを活用した物流企業のブランディング

先日、日本開催のラグビーワールドカップが成功裏に幕を閉じました。

「One Team」のキーワードを胸に世界の強豪相手に挑んでいった勇敢な選手たちの姿は記憶に新しいところです。今回の日本代表の躍進は、われわれに勇気や感動を与えると同時に、さまざまな学びも与えてくれました。「One Team」のマインドが重要なのはラグビーに限らず、物流コンサルティングの現場でも同様です。プロジェクトを成功させるためには、さまざまな背景や個性を持つメンバーが一丸となり、各々の強みを発揮しながら、弱みについてはカバーし合う必要があります。そのためには、個々のスキルと同様に「One Team」のマインドが非常に重要だとラグビーを見てあらためて気づかされました。来年は東京五輪も予定されており、スポーツへの関心がさらに過熱することが見込まれています。そこで本稿ではスポーツビジネスと物流企業の関わり方について述べたいと思います。

今回のラグビーワールドカップにおいても、オフィシャルロジスティクスパートナーをDHLが務めていました。スタジアムの看板やスタジアム内での配布物でDHLのロゴを目にした方も多いと思います。広告や物流面で大会をサポートすると同時に、下記のようなイベントを通じて企業イメージの向上に努めています。

DHL/ラグビーワールドカップのボールデリバリーキッズ20名を募集(LNEWS 2018年9月20日)
https://lnews.jp/2018/09/k092016.html

世界を舞台に活躍するスポーツ選手の健康的で爽やかなイメージは、DHLのブランディングに格好の存在といえます。DHLは世界各国のスポーツチームとスポンサードしていますが、日本ではJリーグの浦和レッズが代表的です。浦和レッズのユニフォームにDHLのロゴを掲載するだけでなく、DHLの配達員に扮して浦和レッズの選手に荷物をお届けする「浦和レッズ配達バイト」という企画も行っています。浦和レッズサポーターにはたまらない企画ですし、これまでDHLを知らなかった人がDHLについて知る機会になっていると思います。

しかしながら、Jリーグトップクラブのスポンサー料は数億円規模ともいわれていますので、DHLのような規模感でスポーツをブランディングに活用できる企業は限られていると思います。地域のスポーツチーム(JリーグであればJ2、J3)であれば数十万円からスポンサードできるため、こちらの方が現実的だと思います。地域のスポーツチームをブランディングに活用している物流企業としては、弊社の関連会社であるセンコー株式会社や大阪府の二島運輸株式会社の事例があります。センコー株式会社は頑張る女性へのサポートや地域貢献を掲げて、なでしこチャレンジリーグのスペランツァ大阪高槻を支援しています。また二島運輸株式会社は、Bリーグ・大阪エヴェッサのスポンサーを務めることで従業員の家族や地域でのイメージ向上につなげています。スポーツをブランディングに活用するのは大企業だけの特権ではないことがお分かりいただけたと思います。

また、ブランディングの他にも地域のスポーツチームを支援するメリットがあります。それは人員の確保です。チームによってはプロ契約ではない選手がいるため、そういった選手が競技を継続するためには生活費を稼ぐための雇用先が必要となります。しかしながら、試合や練習が優先となるため、選択肢が豊富にあるわけではありません。もし運行スケジュールや物流センターの勤務シフトが、チームのスケジュールと合うようであれば、選手を受け入れることも支援の一つの形だと思います。実際に三重県の前田運送株式会社はサッカーJFLのヴィアティン三重の選手を受け入れている事例があります。物流業界の人手不足は深刻な問題であり、アスリートにとっても引退後のキャリア形成は大きな課題となっているため、双方にとってメリットのある支援の形といえます。

前述の通り東京五輪の開催が間近に迫っており、今後もスポーツへの関心がさらに過熱することが見込まれています。本稿の存在が、観戦する以外のスポーツとの関わり方を考えるきっかけになれば幸いです。また、私の前職がプロスポーツチームの職員だったこともあり、物流企業によるスポーツチームとのコラボレーションの可能性を大いに感じています。もしスポーツを活用したブランディングについて興味を持った物流企業の方がいらっしゃれば、一度地域のスポーツチームにコンタクトを取ってみてはいがかでしょうか。

 

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
・笹川スポーツ財団『オリンピアンのキャリアに関する実態調査』2014年
・浦和レッドダイヤモンズWEBサイト:https://www.urawa-reds.co.jp/
・前田運送株式会社WEBサイト:https://maeda-recruit.com/
・物流ウィークリー『二島運輸 大阪エヴェッサが表敬訪問、従業員家族に「安心」PR』2019年6月21日https://weekly-net.co.jp/company/46665/

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第419号 2019年12月11日)

待つこと、待たせること

待つこと、待たせることはコストに影響を与えることはもちろんのこと、スケジュールを狂わせるなど、ビジネス全体に影響を与えることもあります。

ご承知の通り、トラック輸送の待ち時間は大きな問題となっています。国土交通省の『トラック輸送状況の実態調査』によると1運行あたりの手待ち時間は平均で1時間45分、3時間を超える場合が15.1%あるとのことです。

例えば、1運行が11時間/40,000円だとしたら、手待ちの1時間45分は6,300円ほどのコストがかかっているということになります。

そして、この待ち時間はドライバーの長時間労働の要因の一つになっています。ドライバーの働き方改革を進めるため、輸送業界では貨物自動車運送事業法の改正や契約の見直し、待ち時間を短縮するためのシステム導入など改善に取り組んでいます。

ビジネスにおいては、期日や時間を厳守することは常識・マナーと言われています。業務を行うときはスケジュールに従って行っていることが大半でしょう。プロジェクト管理では、マイルストーンという言葉があります。何かが達成されなければプロジェクトに大きな影響をあたえる目標をいいます。つまり、自らの期日や締め切りは終わりではなく、何かの業務の始まりで、締め切りの先があるのです。もし、誰かが何かの達成をきっかけに業務を始めることになっていて遅れることで手待ち時間になってしまえば、手待ち時間の無駄が発生してしまいますし、プロジェクトのスケジュールに影響を与えることもあるでしょう。

もちろん、すべてがスケジュール通りにできるわけではありません。期日に間に合わない場合、「期日までの可否」「期限までに提出できない理由」「期日が遅れても可能なのか」「どの程度遅れそうなのか」このような内容を期日の前に連絡を入れ、相談することでリスク回避できる可能性があります。業務は引き継がれ別の人の業務に流れていきます。その業務をきっかけにして別の業務を始める人にとって「期限になってもできていないがどうなっているのだろうか」、「業務開始が遅れることで自分の業務は間に合わなくなるのではないか」など不安になることもなくなります。

業務を行うにあたり多くの会議や打ち合わせを行っていることと思います。その会議は予定通りの時間に始まっていますか?例えば、誰かが会議に10分遅れ誰かの到着を会議メンバーが待っていたとします。待っていたメンバーが6人いたとして6人×10分=1時間を無駄にしているのです。会議の回数やメンバーひとり当たりの人件費をかければコストが算出できるでしょう。

さて、皆さんの業務はいかがでしょうか。少しの時間やスケジュールを意識するだけで改善できるところもあるかもしれません。
この原稿を締め切りまでに書き終えなければならない私も、今そのひとりです。

(文責:真壁 由香)

【参考文献】
国土交通省 トラック輸送状況の実態調査(平成27年9月)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第418号 2019年11月27日)

バイアスいと上がりけり。

人間が行う意思決定に影響する変数は無数に存在しますが、それらすべてを解法に盛り込むことは現実的ではありません。そのため、程度の差はあれ、人間の意思決定はヒューリスティクス(印象および限られた情報を経験と結びつけ、感情や意図を定義し、解を導く、簡便な解法)に基づくものであるといえます。平均的な意思決定であればさほど問題にはならず、むしろ意思決定までの時間の短さが重宝されます。言い換えると、問題への最適解を導く解法ではなく、問題に対する人間の行動を含めた適正解を導く便利な解法というところでしょうか。他方において、ヒューリスティクスに基づき導き出された解は個々の認知バイアスに多くの影響を受け、かつ解が認知バイアスの影響を受けていると主体者が認識しにくいという特徴もあります。

私たちは日々経験を積み重ねており、多くの場面では経験が豊富であることをプラスのことと評価されることでしょう。しかしながら、経験はあくまで個々人が有する有限の認知リソースにより形成された限られた情報群であり、認知バイアスを強める効果を持つが故、特に変化が激しい時代においては、適正な意思決定の阻害要因ともなり得ます。

第一に、私たちが日々行う意思決定は、多分に認知バイアスを含んでいるものと認識する必要があります。その上で、例えば第三者組織を用いるなど、多様性を内包した組織による意思決定を行うことが望ましいでしょう。

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上記、一言でまとめると『バイアスに気をつけよう』ですので、読者の皆様にとっては釈迦に説法であろうことと存じ上げます。しかし、なぜAIについて議論する際、それが人間の経験値を機械学習させたものと認識していても、あたかも『正解』を導き出してくれるかのような強い期待をうかがうのはなぜでしょう。

例えば配車業務について、実務担当者が行っている配車の特徴をディープラーニングから導き、AIによって自動で業務を行いたいというようなことを、頻繁にうかがいます。言葉をそのまま捉えると現担当者によるヒューリスティクスの自動化なのですが、それによりAIが最適解を導き出してくれるかのような、期待も同時にうかがいます。数年前に多くのメディアにて紹介されたAlphaGo*1の影響でしょうか? バイアスいと上がりけりです*2。

配送オーダーの詳細条件の確認および変更に向けた調整、荷姿に基づく積み合せ計算、ルート組み合せ計算、法定拘束時間の考慮、集車、ドライバーの経験の考慮、ドライバーの育成に向けた考慮、ドライバーの体調配慮など、配車業務は複数のプロセスにより構成されており、また相互に関連しています。どのプロセスを経験値に頼り行うべきか、数理計算に基づき行うべきか、もしくはそれ以外の手段を用いるべきか、また常にその方法でよいのか、繁忙期や閑散期、その他東京オリンピックなどの平均的ではない時期は別の手段を用いたほうがよいのか、プロセスごとの特性や時々の技術を踏まえた上で、深く考えていく必要があります。

(文責:松室 伊織)

*1 AlphaGoについてはNHKスペシャル『天使か悪魔か 羽生善治・人工知能を探る』にて、大変興味深く取り上げられています。
*2タイトルおよび脚注元の表現は吉本興業(株)所属EXIT様の漫談を参考にさせていただきました。

【参考資料】
・「意思決定の行動経済学」ダニエル・カーネマン、ダン・ロバロ、オリバー・シボニー(ダイヤモンド社 2016年1月)
・「意思決定の教科書」ダニエル・カーネマン、ダン・ロバロ、オリバー・シボニー(ダイヤモンド社 2019年6月)
・「NHKスペシャル『天使か悪魔か 羽生善治・人工知能を探る』」(NHK 2016年5月15日)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第417号 2019年11月13日)

物流センター集約時のコスト変化を考える

■物流センターにおける労働力不足

物流業界においては、ドライバーをはじめ労働力不足が企業経営に大きな影響を与えています。2011年を境に日本の人口は減少に転じており、高齢化の進展に加えて世帯構造(共働きや単身の増加)が変わってきています。数年来続いている物流業界の労働力不足は賃金高騰にも表れており、物流業の平均時給は2019年8月までに91か月連続でアップしています。

雇い入れる賃金を上げても物流業界に労働者が集まらない状況の中で、物流センターにおける労働力不足も深刻化しています。物流事業者のみならず荷主サイドの製造業・小売業では、物流センターを新設もしくは移転する際には、いかに労働力を確保できるかを第一として計画を立てる場合が多くなってきています。

■簡易的な物流センター最適立地シミュレーション

例えば「良好な交通アクセス」+「労働者確保」の両方を得るために新しい物流センターの建設を計画するとしましょう。新拠点もしくは統合拠点をどこに建てれば良いかは、まず配送拠点としてコストが最適なのかどうかをみることが弊社の場合多いです。日本ロジスティクス協会の「2016年度 物流コスト調査報告書」によると、輸送、保管、包装、荷役、物流管理のうち、配送コスト(支払物流費+自家物流費)の占める割合が55.7%と最も高くなっているというのが理由です。

配送コストが最小となる物流センターの最適立地は、一般的に需要地近隣を選定したほうが望ましく、その判断手法の一つとして重心法による拠点選定があります。重心法とは配送ネットワークにおける候補拠点のなかで、物量(t)×配送距離(km)の合計(Σ総トンキロ)が最小となる立地地点(配送エリアの物流重心という)を選定することで、配送コストが最小化するという考え方です。

重心法は重力モデルとも呼ばれ、筆者が欧州の物流事業者選定コンサルティングを実施した際には、3PL(Third Party Logistics)プロバイダー3社が、配送コストを考慮した提案拠点であることを、この重力モデルで示していました。

■現在の拠点体制が最適なのか

例えば関東地区に物流センターがあり全国をカバーしていた場合、次に作る拠点は特別な要件がなければ関西に作るということが、なんとなく考えられることです。しかしながら、その立地はどこにすべきなのか、いつ作るべきなのか、そもそも2拠点が良いのかなどさまざまな検討をしなければなりません。さらに最適拠点だけでなく、既存の別施設や候補となる拠点を含め、より現実的な案を探ります。今後の事業展開をもとに物量の伸びをその試算に加えていく場合は、関東1拠点体制においてどの程度の物量になった時に新規の拠点を設置すべきかなどといったことも検討が必要です。

拠点数の検討において基本的な考え方は、拠点が多くなると配送費が低下するものの拠点のコストが増加するため、この二つの費用を合計すると最適な拠点数が導かれるというものです。まず配送コストや拠点コストを整理し、対象となる配送物量を決定します。この準備ができたら、拠点候補地を選定し、配送エリア割を先に行えば複数拠点の立地も表計算ソフトで計算できる重心法で試算可能です。

■配送コスト以外に考慮すべきコスト

配送コストが最小となる拠点立地は重心法で出すことが可能ですが、その他のコストである製品保管コスト、荷役コストについても立地によって変化します。まず保管コストですが、拠点の賃料単価(坪単価であることが多い)の変化で計算すると簡易算出可能です。荷役コストは人件費に影響されるところが大きいため、都道府県単位にはなるが厚生労働省の賃金センサスを用いて、地域間の賃金レベルの違いを用います。

これら以外にも拠点集約時の在庫減について考慮しなければなりません。拠点集約・分散時に在庫量(正確には安全在庫量)は変動すると言われており、平方根の法則に従うとされています(詳細は以下を参照)。

(文責:釜屋 大和)

ロジ・ソリューションではお客様の物流センター拠点戦略についてアドバイスを行っております。お気軽にお問い合わせください。

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第416号 2019年10月16日)

ロジスティクスのエキスパートを輩出せよ!

弊社がコンサルティングを実行した各クライアントが抱える物流課題の根本的な原因に、幾つかの共通点があります。その中で、特に私が感じるのは「ロジスティクスの知識・経験を持った人材」の不足です。企業によっては、ロジスティクスを管理する専門組織すら存在しないこともあり、人材を確保する必要性をあまり意識していなかったとも考えられます。一方で、物流企業における実態も、入社後に実務を経験して初めてロジスティクスを学ぶことが多く、短期的な人材育成・研修プログラムを導入している企業はあるものの、採用の段階からエキスパートの育成を見据えた専門知識のある学生を獲得しているケースは稀ではないでしょうか。そもそも、そのような学生がいないという一面もあります。

私は以前、物流業界において、本格的なロジスティクスのエキスパートを輩出できるような取り組みができないかと、物流企業が実施している従来のインターンシップを見直し、独自のプログラムを開発して、学生を募ったことがあります。その際、日本国内においてロジスティクスやSCMを学ぶ専門学科もしくは学部を有する大学にアピールしようと調査しましたが、残念ながら、そのような大学はほとんどありませんでした。先述したロジスティクスの人材不足の根源は、こうした実態にも顕著にあらわれています。

公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会(以下、JILS)のレポートによると、Eduniversal社が調査した世界の修士課程を科目別で集計した大学ランキングで、「Supply chain and logistics」の科目におけるランキングでは、TOP100校の中に日本の大学がランクインしていません。ちなみに1位は米国のMassachusetts Institute of Technology(MIT)で、以下2位米国、3位ポルトガル、4位ペルー、5位フランスの大学と続き、アジア太平洋地域の最高ランクはオーストラリアのシドニー大学が18位です。日本におけるこのような教育実態の背景には、米国のような広大な地域でロジスティクスを考え、サプライチェーンを最適化することを論理的に学ぶ必要性があった国と日本のような狭小国との環境の相違が考えられます。ロジスティクスシステム構築の模範ともいわれるウォールマートも、それを担うロジスティクス・SCMの専門知識を有する人材が自ずと必要とされてきたといえます。

弊社はJILSが主催する物流技術管理士資格認定講座をはじめ、国際物流管理士資格認定講座など、幾つかの物流関連資格の講座におけるカリキュラムを担当していますが、ここ数年受講者層に変化がみられます。特に、東京地区において開催する講座については、受講対象者の職種が、物流事業者よりも荷主の立場になる職種の方が増加傾向にあるのです。変化の激しい社会情勢や最新テクノロジーの台頭、さらに物流業界が抱える様々な課題を前に、ロジスティクスやSCMのエキスパートを社内で育成しようという企業意識が高まりつつあるのではないかと感じています。個人的には、日本の大学機関においても、益々加速するグローバルビジネスを見据えたロジスティクスやSCMの専門知識を教育する大学が増えることを期待しています。

教育の成果は、長期的視野に立って考える必要がありますが、その投資を惜しむことなく着実に取り組み、将来的には、企業組織にCLO(チーフ・ロジスティクス・オフィサー)が存在し、更に同CLO経験者が経営トップになるような状況が増えてくれば、日本企業の更なる成長が見込めるかもしれません。

(文責:貞 勝利)

【参考】
ロジスティクス強調月間2019」公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第415号 2019年10月2日)

プレゼンテーションは奥が深い!-9

前回から少し時間がたってしまいましたが、前回はプレゼンテーション本番のことを中心にお話ししました。(前回はこちら

今回は、いよいよまとめです。

プレゼンテーション本番で、聴衆の興味を引き、準備していた内容を説明した後、できれば質疑応答の時間を取って、理解の不足するところを補うようにすることが有効です。特に物流コンペでは、話し手の話したいことと聞き手の聞きたいことにギャップがありますので、とても重要な時間です。

質疑応答でより理解を深めてもらうためには、プレゼンテーションに合わせて、想定される質問を抽出し、回答を準備します。この時、幅広い意見を聞いて作成することで、多種多様な質問への準備ができます。プレゼンテーション資料の中に、聞いてほしいポイントを盛り込んでおくという高度なことをしている場合もあると聞きますが、そこまでしなくても質問は出てきますので、準備に時間をかけましょう。

質問を受けたらすぐに答えるのではなく、質問内容について再度確認します。これにより、質問者と回答者だけでなく、聴衆の多くを巻き込み、質疑応答に注意を引くようにします。

また、準備していない質問を受け、回答が難しい内容の場合もあると思いますが、このような時は正直に「すぐに答えられない」と話す方がよいでしょう。内容にもよりますが、質問者の質問が深く鋭いので、考えて答えたいという感じで話します。

今までお話ししてきた内容で、プレゼンテーションを通して伝えたいことが伝わり、納得し、アクションにつながればよいのですが、必ずしもそうとは限りません。コンペなどでは当然成約できないこともあります。プレゼンテーション内容が受け入れられたかどうかに関わらず、必ずその結果の理由を確認することが重要です。

プレゼンテーション内容が採用された場合は、評価してもらったポイントを確認します。プレゼンテーション内容が採用されなかった場合は、お礼とともにプレゼンテーションで何が欠けていたかを確認します。提案書の内容なのか、提案書がわかりづらくて理解できなかったのか、プレゼンターの説明が理解できなかったのかなど要素はいろいろありますので、その内容を確認します。多くの場合、当たり障りのない理由や誰もが納得しそうな内容の回答をされると思いますが、ストレートに話をしてくれる場合もありますので、最初からあきらめないで確認しましょう。この情報が、次につながる生きた情報だからです。

1年以上にわたって、プレゼンテーションについてお話ししてきましたが、タイトルにあるように「奥が深い」ものです。少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

(文責:中谷 祐治

ロジ・ソリューションでは、物流に関するいろいろなご支援をさせていただいております。何かお困りのことがありましたらぜひお声掛けください。(お問い合わせはこちら

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第414号 2019年9月18日)

続・2030年の物流を考える

夏が終わりに差し掛かってきました。令和最初の夏でしたが、読者のみな様はどんな夏を過ごされたでしょうか。

以前執筆した「2030年の物流を考える」が2018年ばんばん通信ランキングで3位を獲得しました。初めてお会いするお客様から、記事に対するコメントを頂くこともあり、そういった反響は何物にも代えがたいほど嬉しいものです。私自身も上位になった理由を十分に分析できていませんが、「物流の2030年問題」がお客様にとって最も関心のあるテーマの1つだったのだと思います。各メディアで声高に叫ばれている人手不足問題、刻々と進むイノベーション(省人化設備、自動運転)等々、物流の未来は混沌としているといっても過言ではないでしょう。

前回の記事を執筆以降もお客様と2030年の物流を考える機会が多くありました。直近ではある物流事業者様より自動運転をめぐる動向および、それを踏まえた事業戦略についてご相談をいただきました。読者の皆さんもご存知の通り、自動運転技術は日進月歩の発展を遂げており、内閣官房IT総合戦略室の『官⺠ITS構想・ロードマップ2019(案)』によると、2025年を目途に高速道路での完全自動運転(レベル4)の実現が見込まれています。

まだまだ先の話かもしれませんが、自動運転による輸送サービスの登場により、輸送ビジネスそのものが大きく形を変えるのではないかと考えています。現在は未曾有のドライバー不足によって、安定的な輸送実現のニーズが高まっており、中期経営計画等で自社車両勢力の拡大をPRする物流事業者も多く存在します。ドライバーおよび車両を確保する力が物流事業者の競争力を示す重要な要素の1つとなっています。しかしながら、自動運転による輸送サービスの実現は、既存の物流業界の構造を大きく揺るがす可能性を秘めています。トヨタ自動車が発表した次世代モビリティ「e-Palette」はそうした業界の激変を十分に予感させます。自社でドライバーや車両を多く抱えることが、長期的には時代の変化に取り残されるリスクになりかねないのでは?とも考えさせられました。物流事業者の10年後の競合は他の物流事業者ではなく、他業界からの参入者なのかもしれません。

そんな状況だからこそ現状をしっかりと直視し、未来を描いていく必要があると考えます。事業戦略についてご相談をいただいた先述の物流事業者様とも、SWOT分析とSWOTクロス分析を通じて、現状を整理し未来への布石を検討しました。上記ビジネスフレームワークは非常に有名であり、既に実施したことがある読者の方もいらっしゃるかもしれません。ただ、こういった分析は実施するだけでなく、時代の変化に合わせて継続的に見直していくことが重要です。また、自社内で完結するよりも、外部の専門家等を交えて実施するほうが良い結果に繋がるケースもあります。外部の意見を取り入れることで、より客観的な現状把握が可能となる上に、自社内では出てこないような新しいアイデアが生まれる可能性があります。自社の戦略検討にあたって、一度外部の専門家の声を聞いてみてはいかがでしょうか。

(文責:野尻 達郎)

ロジ・ソリューションでは、物流戦略の構築から実行まで幅広くご支援をさせていただいております。お気軽にお声がけください。(お問い合わせはこちら

【参考資料】
『官⺠ITS構想・ロードマップ2019(案)』(内閣官房IT総合戦略室)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第413号 2019年9月4日)

ユーザーの視点

先日、社内でのセミナーでデザイン思考を学ぶ機会がありました。

デザイン思考とは、「デザインの考え方をビジネスの場に適用した思考法」で、さまざまな新製品開発やイノベーション創出に役立ってきたことから、近年特に注目されているようです。

デザイン思考の一つの特徴は、圧倒的ユーザー中心主義であることです。デザイン思考のユーザー中心主義とは、ユーザーの欲しいものを聞き、その通りに行う「お客様第一主義」の考え方とは少し異なります。

デザイン思考でいうユーザー中心主義というのは、ユーザーになりきり、ユーザーを深く理解することで、ユーザー自身も気づいていない潜在的ニーズを発見し、驚くべき気づきを得て、そこからアイデアを発想して問題解決をすることにあります。

これらの考え方は物流にも共通することが多くあります。

例えば、新たな業務フローの設計やシステム設計をする際などはユーザーの視点が重要になります。現に、設計した内容がユーザーの視点が取り入れられておらず、その結果、立上げ時に問題が発生し、現場が混乱する、またそれらを改修するために追加投資が発生するなどは、今でもよく耳にします。設計時にはユーザーを自分に置き換え、設計した内容でスムーズに動くか、本当にユーザーが使いやすい(効率的)仕様になっているかなど、さまざまなシチュエーションから、仮説を立て、検証することが重要になります。そうすることで課題が見え、それに対する対策など、事前に問題を取り除くことができます。さらにもっと踏み込んで、ユーザーをさらに深く理解することで、ユーザー自身も気づいていない課題・潜在ニーズを発見し、さらなる改善に繋がることもあるかもしれません。

今の時代は消費者も個性化、多様化しており、それに合わせて物流ニーズも多様化しています。多様化の時代だからこそ、ユーザーの視点は重要になります。ユーザーになりきり、深く理解することで、潜在的なニーズ・課題を発見し、それが問題解決の切り口になるかもしれません。

(文責:南部 大志)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第412号 2019年8月21日)