「高速道路料金」を長期的な視点でみる

(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第80号 2010年5月26日)

 

ゴールデンウィーク、愛知から「お伊勢参り」に行きました。
豊川から伊勢までの道程、行きと帰りとでは別ルートをとりました。

(行き) 
豊川 ⇒ 伊良湖岬 ⇒ (伊勢湾フェリー) ⇒ 鳥羽    所要時間3時間。
(帰り) 
鳥羽  ⇒   (伊勢自動車道、東名高速)   ⇒ 豊川   所要時間7時間。

行きはフェリー代6,500円。帰りは高速代4,950円のところ、休日上限1,000円が適用されました。帰りは、お金は少し助かりましたが、「大渋滞」に『はまって』しまいました。
「現行の料金制度」は、マイカー族にもトラック業界にも料金面で大きな恩恵をもたらしています。しかし、一方でこのフェリー会社は、航路廃止を表明し、それに対し周辺地域で存続の署名を募っていました。この割引制度が結果として自動車優遇で、船、鉄道の交通機関としての特長を消しているような気がします。

現在の高速道路の料金割引は、高速道路会社の割引に加え、税金から3兆円を確保して賄われています。
「高速道路新料金」は、6月実施の見送りが確定しましたが、現在の割引を見直し、車種毎に上限料金を設けるものです。同時に大口多頻度や他のETC割引などが廃止され上限に達するまでの走行には何の割引も無い為、実質値上げと言われていますが、その上で、現在確保していた3兆円のうち1.4兆円を外環などの道路整備に活用するというものです。

高速道路の割引、無料化、様々な政策が聞こえてきますが、トラック業界はこれをどう捉えるべきでしょうか。


「新料金」に移行し実質値上げとなれば、運賃値上げを荷主に求めていく必要が生じます。逆に「無料化」となれば、荷主から値下げが求められます。どちらにせよ過渡期には、荷主、トラック事業者どちらかに負荷がかかると思われます。毎年のように制度が変わっては困りますが、どのような料金であっても長期的には費用や利益はバランスしてくると思われます。
このように考えるとトラック業界は、短期的な政策に一喜一憂するのでなく、長期的な視点で、他の交通機関との物流のシェアや、高速道路の機能がどう変化していくのかといった視点が重要なのではないでしょうか。

世界的な環境への意識が高まり、CO2の削減が大きな課題としてある中、外環や交通量の多い区間の4車線化は自動車排出ガスの削減に大きく寄与するでしょう。都内の通過交通や車線数不足による渋滞が緩和され、交通事故や工事による通行止め等が少なくなり、定時制やバイパス機能が確保されるのは労務管理や安全管理にとって望ましい事と思います。
一方で、前述したフェリー会社のように、高速道路の料金割引が原因で航路が廃止されるとすれば、効率的な物流を目指す我々にとって、望ましい事ではないと思います。

6月より段階的に実施していくとしている「無料化」については、本来の目的である物流の効率化により日本経済の底上げにつなげられるのでしょうか。莫大な費用のかかる高速道路の維持・管理を税金で継続的に負担することが本当に可能なのか、安全性や定時制が確保できなければ、労務管理への影響、延着などにより荷主の信頼を損なうのではないでしょうか。
料金のバランスが崩れれば、ストレスを引き起こします。私は渋滞に『はまって』しまいましたが、我々の業界が非効率な交通体系に『ハマッテ』はいけません。
いずれにせよ厳しい財政の中で実施されるものであり、政府が何を優先して、どのような方向に舵を切るのか、実験や試行といって実施される制度を業界全体で正しく評価する姿勢が必要だと思います。


(文責:藤原)

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※2010年5月時点での内容です。