改善から改革へ

茹だるような暑さの日が減り、涼しい日が増えてきました。秋の足音が聞こえてくるようです。

読者の皆さんにとって、秋はどんな季節でしょうか。読書、スポーツ、食欲・・・。私はスポーツの秋です。仕事とは直接関係ないですが、スポーツから学ぶことは多くあります。特にチームスポーツ(野球、サッカー等)については、度々仕事に置き換えて考えます。最近は37年ぶりのリーグ連覇が決定した広島東洋カープ(以下、広島カープ)に注目しています。広島カープは地方都市を本拠地とし、あまり裕福なイメージはありませんが、資金力に勝る大都市のチームを差し置いて現在セントラル・リーグの首位に君臨しています。

事実、広島カープに所属する選手の総年俸は低い(12球団で下から2番目)です。しかしながら、25年ぶりの優勝を果たした昨年度は両リーグ最多の89勝を挙げました。資金力の差を独自の施策で埋めており、異なる分野ではありますが、とても参考になります。特に外国人選手の戦力化に関する施策(ドミニカカープアカデミー)は大変興味深かったです。

プロ野球選手名鑑をもとに調べてみると、昨年度は47名もの外国人選手が新たに来日しましたが、そのうち6割が契約を更新せず退団していました。獲得に際して実力だけでなく性格についても慎重にチェックし、来日後のサポートについても腐心しつつも、半数以上の選手は1年で日本を去ってしまいます。外国人選手の戦力化については、各球団苦戦していると言えます。そんな中、広島カープは別の観点から戦力化を進めています。それがドミニカカープアカデミーです。身体能力の高いドミニカの選手に日本式の教育メニューを施し、日本に順応できる素養を身に着けた選手を来日させます。これにより選手を獲得するコストだけでなく、日本の環境に順応できないリスクも抑えることが可能となりました。育成という新たな視点をベースにした改革と言えるでしょう。

さて、物流においても同様のことが言えるのではないかと私は考えます。地道な改善はもちろん大切です。しかしながら、改善には限界があります。「改善」ではなく「改革」するくらいの強い意気込みと広い視野で、取組む必要があります。目の前の現場だけでなく、サプライチェーン全体に目を向けるとまだまだ効率化の余地はあります。以前に弊社が参画した流通加工の改善プロジェクトでは、他のバリューチェーン(中国での製造)まで視野を広げた改革プランを提言させていただきました。

しかしながら、本質を捉えない改革は大きな混乱を招く危険性が非常に高く、闇雲に奇策を繰り出すだけではいけません。的確な改革プランを立て実行していくためには、豊富な知見と情報をベースにした深い検討が必要です。物流の改革にあたって、自社の限られたメンバーだけでなく、外部の専門家も交えて一度検討してみてはいかがでしょうか。

(文責:野尻 達郎)

【参考】
『プロ野球カラ―名鑑2017』(ベースボールマガジン社 2017.2.17)
BASEBALL KING 『外国人も自腹で育てる カープアカデミー復活の兆し』(2016.3.27)https://baseballking.jp/ns/63614

AERA dot. 『年俸安くても効率的に勝ったのは・・・コスパがいい球団、悪い球団【2016年版】』(2016.11.7)https://dot.asahi.com/dot/2016110700157.html?page=1

日本プロ野球選手会 公式ホームページ選手会ニュース 『2017年度年俸調査結果を発表しました。』(2017.5.1)https://jpbpa.net/news/?id=1493642265-877560

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第367号 2017年9月20日)

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