トレーサビリティについて

トレーサビリティという言葉は最近、色々な業種、業界で聞くようになりましたが、最も注目を浴びたのは牛肉におけるBSE問題やうなぎにおける産地偽装問題だと思います。
トレーサビリティは、トレース(追跡)とアビリティ(可能性)を組み合せた言葉で「跡をたどれる事」と訳される事が多く、元々は計測機器の精度や整合性を維持されるために使われていた用語ですがISO(国際標準化機構)が規定する品質管理や品質保証に関する国際規定「ISO9000」の2000年の改訂で「考慮の対象となっているものの履歴・適用または所在を適用できること」(日本規格協会訳)とされ、一般的には、その商品の生産、流通、販売、廃棄等の過程、経路をたどる事が出来る仕組みとされています。物流でいうと、その商品が「いつ、どこから、いくつ、どのように入荷・保管され、どこへ、どのような状態で、どのような手段で配送・納品されたか」という商品の動きを示す仕組みといえます。

では、なぜトレーサビリティが注目され、必要とされるようになってきたのでしょうか。
複雑に入り組んだグローバル社会において、日本は元より、世界中で色々な方法で、多くの商品が生産され、ありとあらゆるものが、多様な流通手段を使い日本にもたらされる今日、問題のある商品が日本にもたらされた場合、その商品の識別、履歴が判り難い為、消費者、使用者、所有者の安全、安心を守る事、生じた不具合に対する生産者、販売者の適切な対応(原因追究、対策等)、リスク回避を行う事ができない状況があり、その商品の識別、履歴が判るようにする為、法律の規定やマネジメントシステムで、トレーサビリティが適用されるようになりました。

トレーサビリティの代表的な事例としては、宅配便における貨物追跡システムがあります。荷物にバーコードを貼り付け、集荷から配達までの各作業でバーコードの情報を読み取り、荷物がいつ集荷され、今どこにあるかを、リアルタイムで確認、トレースする事が可能となっています。これらは通信販売業者が、商品発送の際に、顧客に伝票番号を通知し、顧客が商品の到着過程を確認、トレースできるといった事にも用いられています。国際航空貨物を対象とした貨物追跡システムではバーコードでなく、多くの情報を蓄積できるICタグを用いています。
また、法律の規定として産業廃棄物におけるマニフェスト制度があります。この制度は、排出事業者が産業廃棄物の処理を収集運搬業者、処分業者に委託するときに、マニフェストに産業廃棄物の種類、数量、運搬業者名、処分業者名などを記入し、収集運搬業者、処分業者へ、産業廃棄物とともにマニフェストを渡しながら、処理を確認するしくみで、それぞれの処理後に、排出事業者が各業者から処理終了を記載したマニフェストを受取り、委託どおりに廃棄物が処理されたかの確認、トレースする事ができます。今では、排出事業者、収集運搬業者、処分業者が通信ネットワークを利用し、産業廃棄物の流れを管理する仕組み電子マニフェストによる「情報の共有」と「情報伝達の効率化」が推進されています。

現代社会において商品の生産、流通、販売、廃棄等を単独企業だけで行うことはほとんどありません。また、その商品、会社、業種、業界に必要な法的、社会的、管理上必要なトレーサビリティは異なり、その中で、トレーサビリティの内容、レベルを見極め、その商品、会社、業種、業界に適したトレーサビリティを行うことが必要となります。生産者、販売者と消費者、使用者、所有者の間で実際に商品を動かす物流企業は、その内容、レベルを理解し、物流企業が行うトレーサビリティの責務(法的、社会的、管理上の責務)を果していかなければ、その物流企業が生き残り、発展していく事は難しくなるとおもいます、また、トレーサビリティの内容、レベルが顧客の物流企業を選定する1つの要因にもなってくるのではないかと感じます。(もちろんコストが発生する事です、料金への反映も考え、費用対効果も十分考慮し、内容とレベルを判断していくことも必要です。)

(文責:安崎)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第46号 2009年8月26日)

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