コンテナ輸送は「擦れ」との戦い

昨年末にモーダルシフトについて述べた号(モーダルシフト/ばんばん通信第305号)がありましたが、モーダルシフトの中でも比較的シフトしやすいのがコンテナによる鉄道輸送です。しかしながら、トラックの荷台にある荷物をただコンテナに乗せかえるだけなのでハードルが低いのでは、というイメージがありませんか。

私自身、あるメーカーの幹線輸送のモーダルシフト化を提案し採用されました。一部区間の輸送を鉄道輸送に切り替えて頂いているのですが、コンテナ輸送固有の制約や課題があり、なかなか苦労しています。トラック輸送の依存度が高いままになっている理由も頷けます。

モーダルシフト化の目的は温室効果ガスの削減やトラック・ドライバー不足の代替案、BCP(事業継続計画)の一環などが挙げられますが、そもそもトラック輸送と比較し同等、あるいはそれ以下の輸送コストにならないと切り替えるきっかけが無く、結果としてコストメリットが出やすい長距離輸送のみを利用している企業が多いと思います。最近はトラックと同様に鉄道も値上げ傾向が強く、たとえ長距離でもトラック運賃よりコストメリットを出すためにはいかに積載効率を高めるかが鍵になってきています。

この「積載効率」のトレードオフとして発生するのが、「輸送品質」の問題です。コンテナ輸送で最初に立ちはだかる壁が輸送上発生する荷傷、いわゆる「擦れ問題」です。今回は実際に効果があった「擦れ問題」の対策事例の一部をご紹介したいと思います。

事例の対象製品はケース品で、ほとんどが容積勝ちですので、なるべく積載効率を高めるためにパレット積みせず、5トンコンテナにバラ積みしています(パレット積みすると積載効率が40%以上低下する試算になりました)。
コンテナ輸送に移行した当初は擦れ問題にかなり苦しめられ、擦れで発生した段ボールのカスがコンテナの底に雪のように積もっていた、という日もありました。この「擦れ」は輸送時の振動により発生するものですが、擦れが発生するポイントを調べていく中で、「養生方法」と「商品の選別」を工夫すればある程度抑えることができるということがわかってきました。

まずは「養生方法」についてです。ドライバーの癖にもよりますが、バラ積みする場合、

① ある程度数量がまとまっている商品 → Aゾーン
② 数量はまとまっていないものの、Aゾーンに近いサイズの商品 → Bゾーン
③ 小ロットまたは特殊なサイズの商品 → Cゾーン

という順番で、何とかコンテナに収まるよう試行錯誤しながら積み込むことが多いと思われますが、「擦れ」はB~Cゾーンに集中して発生していました。

【図1:ゾーン別品質事故発生率】

サイズの異なる商品を積み合わせるB~Cゾーンに擦れが集中する要因として「圧力の違い」と「振動方向の違い」の2点が想定されます。輸送時の湿度などで状況は変わりますが、図2のように同じサイズの商品を同じ方向に並べた場合では擦れは発生しませんが、タテ面・ヨコ面が接地している場合、表面積の差から一方に圧力がかかり擦れが発生しやすいようです。

【図2:製品サイズによる擦れの発生】

この対策として、接地面が異なる部分にのみ養生を実施しました。図3のようにケースの方向が変わる部分にビニールを挟んだところ、「擦れ」はほぼ発生しなくなりました。

【図3:ビニールシートによる養生場所】

次に「商品の選別」についてです。養生を施すデメリットは作業時間と養生費用です。養生することで積み込み時間が余計にかかりすぎるとコンテナの回転率が低下し、その分コスト(集貨費用)に跳ね返ってきますし、養生を過剰にするとそれだけ養生材の費用が嵩みます。廃材が増加することも問題となります。
Aゾーンの商品のように、同じサイズの商品構成でまとめると養生の必要は無くなり、作業時間を短縮できることでコストメリットが出てきます。ただ物流事業者に商品を選別する権限はありませんので、荷主の協力を仰ぐ必要があります。品質の向上だけでなく両社にコストメリットも得られるので実現性の高い対策と思われます。

この対策は「ひな壇積みによる荷崩れ」の防止にも効果があります。前述の考えで積み込みを行った場合、荷物が積みきれなくなる不安からAゾーンをできるだけ積み増すことからB・Cゾーンの積み方により図4のような「ひな壇積み」となってしまうケースが多く、輸送中の振動で荷崩れのリスクが高くなります。

【図4:ひな壇積みの荷崩れ】

毎回の輸送に同じ商品種類・商品数を積み付けはしないので、上面を揃える積み方をするためには専用のソフトを使用しない限り、ドライバーの経験則に頼らざるを得ませんが、なるべく商品サイズを固めることでゲームのようなパズル積みを回避し、「ひな壇積み」の発生を抑えることができます。

(文責:伊藤 和城)

今回は二つの事例を紹介しましたが、JR貨物様のホームページには様々な荷姿に対する養生方法の事例を紹介していますのでご参考にしてみてはいかがでしょうか。
・日本貨物鉄道株式会社(JR貨物) http://www.jrfreight.co.jp/index.html

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第316号 2016年3月2日)

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