「至誠」が伝わるコミュニケーションとは

2018年のスマートフォン出荷台数は、約14.2億台(調査会社IDC)だそうです。2022年には約15.7億台(同社)が予測されており、これは世界の人口の約5人に1人の割合です。とはいえ、世界的にも圧倒的な人気を誇る「iPhone」ですら2007年に誕生し、まだ12年弱しか経っていませんから、凄まじいスピードの普及だといえます。

「情報化社会」の到来を予測した識者は何人かいるようですが、中でも有名なのは、1980年に『第3の波』を著したアメリカの未来学者・アルビン・トフラーだと思います。本書の中でトフラーは、人類はこれまで大変革の波を二度経験してきており、第一の波は農業革命(18世紀の農業における変革でなく、人類が初めて農耕を開始した新石器革命に該当)、第二の波は産業革命と呼ばれるものであり、これから第三の波として情報革命による脱産業社会(情報化社会)が押し寄せると唱えていました。しかし、その彼でさえも、これほどのスマートフォンの世界的な普及を予測できなかったのではないでしょうか?

私達は、このスマートフォンを通じてインターネット社会がより日常になり、それまでの生活とは比較にならない豊富な情報にアクセスできるようになりました。また、E-mailよりも気軽に発信できる様々なSNSも誕生し、情報の送受信が多様化しました。その中で、人間同士のコミュニケーションにも確実に変化が起きています。

改めて振り返ると、現在のような情報通信手段がなかった時代、最も効果的なコミュニケーションは、1対1で面と向きあって会話をすることだったでしょう。やがて、先の産業革命に生まれた電話により、会いに行く時間を割かなくても、声でコミュニケーションが取れるようになりました。更に、パソコンや携帯電話等の普及で、E-mailという文字で伝えることができるようになり、そして、スマートフォンではLINEのスタンプのように、もっと簡素なツールを使いこなしています。

このように、私たちが触れる情報量の多さと反比例するように、伝達手段はどんどん簡素化しており、却って以前よりコミュニケーションレスが起こっていないでしょうか。

コミュニケーションには、大きく分けてバーバル(正式にはVerbal:ヴァーバル)とノンバーバル(正式にはNon-Verbal:ノンヴァーバル)という2つがあるのをご存知でしょうか?言葉によるコミュニケーションを「バーバル・コミュニケーション(言語的コミュニケーション)」、言葉を使用しないコミュニケーションを「ノンバーバル・コミュニケーション(非言語的コミュニケーション)」といいます。アメリカの心理学者のアルバート・メラビアン博士が1973年に提唱した理論「メラビアンの法則」によると、実は言葉以外の非言語的な要素で、話し手の印象を決めているというのです。その内訳は、

視覚情報(Visual:ヴィジュアル)= 見た目・身だしなみ・しぐさ・表情・視線 → 55%
聴覚情報(Vocal:ヴォーカル)= 声の高低・速さ・大きさ・テンポ → 38%
言語情報(Verbal:ヴァーバル)= 話す言葉そのものの意味 → 7%

となっており、ノンバーバルである視覚情報と聴覚情報で93%を占めています。

つまり、言葉や文字などの言語情報だけでは、不十分なコミュニケーションになっていることが考えられ、先に述べた現在の情報伝達手段では、コミュニケーションレスが起こっても不思議ではありません。また、それを理解して利用している方も多いでしょう。

物流管理に限ったことではありませんが、管理部門と物流現場との情報共有を図る手段として、ビジネスメールを多用していることと思います。例えば、品質トラブルや、イレギュラーな事象が発生した際、現場から共有されるメール情報で全てを把握することは、ほぼ不可能です。「三現主義」という言葉がある通り、現場に足を運び、携わった関係者とのノンバーバル・コミュニケーションを取ることで、より相互理解が深まるはずです。

新一万円札の顔となる近代日本経済の父・渋沢栄一は、コミュニケーションについて、「交際の奥の手は至誠である。事業には信用が第一である。世間の信用を得るには、世間を信用することだ。個人も同じである。自分が相手を疑いながら、自分を信用せよとは虫のいい話だ。信用は実に資本であって商売繁盛の根底である。」という格言を残しています。彼のいうコミュニケーションの奥の手である「至誠」は、ノンバーバルでこそ、その多くが伝わるのではないでしょうか。

高度な情報化社会のいまだからこそ、Face to Faceを大切にし、信用を深める努力を積み重ねていきたいと思います。

(文責:貞 勝利)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第404号 2019年4月17日)

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